山口美央子 / Mioko Yamaguchi

近年のいわゆる和モノ・ブームの中で最もCD 化再発が望まれていたアーティストと言っても過言ではない山口美央子。テクノ・ポップやシンセ・サウンドをベースとしたシティ・ポップにオリエンタルな要素や和のテイストを存分に落とし込んだその作品群は今なお新鮮に響く、まさに早過ぎた傑作。デビュー・アルバムから全曲作詞作曲を手掛けた彼女のソング・ライティング力、耳に残る歌詞、楽曲センスは一聴すればすぐに分かるほどに秀逸。
作曲家に転身した後、稲垣潤一、今井美樹、岡田有希子、奥菜恵、かとうれいこ、金井夕子、香坂みゆき、郷ひろみ、CoCo、斉藤由貴、鈴木雅之、瀬戸朝香、千堂あきほ、高井麻巳子、CHIHARU、つみきみほ、ともさかりえ、西田ひかる、西村知美、HOUND DOG、原田知世、光GENJI、藤あや子、藤谷美紀、堀ちえみ、森口博子、やしきたかじん、泰葉、渡辺満里奈等々、錚々たるアーティストに楽曲提供を行ったことからも分かるが、メロディー・メイカーとしての才能は抜群であった。
1980 年のデビュー・アルバム『夢飛行』、続く翌年のセカンド・アルバム『NIRVANA』では、プロデューサーである井上鑑をはじめ、パラシュートの面々が参加。海外での評価も非常に高いサード・アルバム『月姫』では、プロデューサーに立川直樹、サウンド・プロデュース、アレンジは当時「すみれSeptember Love」を大ヒットさせたばかりの土屋昌巳が担当。3 枚共にプログラミングに松武秀樹を起用し、独特の“ジャパネスク” な世界観とエレクトロニックなサウンドをより効果的に、そして絶妙に融合させている。
コケティッシュで艶やかながらも気品のある歌声、先鋭的なサウンドと凄腕ミュージシャン達の卓越した演奏力に全く引けを取らない歌の存在感、そして独特の口語を多用する不思議な言語感覚と圧巻のリズム感が彼女の作品をオリジナルたらしめていた。